肛門が痒い
皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)
皮膚に目立った異常がみられないのに、かゆみがでる場合を皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)と言います。痒くて掻いたり擦ったりしていると、皮膚に傷ができたり、湿疹ができます。掻く事によって、自分で湿疹を作ってしまうのです。全身にかゆみが出る全身性皮膚掻痒症と、外陰部や肛門周囲などに限局してかゆみが出る限局性皮膚掻痒症があります。
肛門について
肛門は、長さが「3cm」くらいあります。肛門の内側には「肛門クッション」があります。「肛門クッション」は、便やガスの漏れを防ぐ役割があります。「肛門クッション」は、血管や筋繊維などが集まった、とても柔らかい組織です。
肛門掻痒症
「肛門が痒い」事を総称して、肛門掻痒症といいます。症状に対して使用するので、原因は様々です。最初は「軽い痒み」から始まりますが、トイレットペーパーで擦って拭いたり、石鹸で肛門をゴシゴシ洗ったりする事によって、痒みが増していき、掻きむしるようになります。
「肛門が痒い」原因
カンジダ症
カンジダという真菌(カビの一種)は、正常な皮膚にも少しだけ存在しますが、体の抵抗力が落ちると増殖します。
接触性皮膚炎
石鹸、市販の軟膏、あせも、消毒薬、ウェットティッシュ、ナプキン、化繊の下着、痔(脱肛、痔ろうなど)による分泌物など。
皮膚癌
ページェット病、ボーエン病など。皮膚科の受診が必要です。
便の刺激
肛門の中や直腸に「便」がたまったり、残ったりしていると、便の刺激で痒みが引き起こされます。例え毎日「便」が出ていても、スッキリ出ずに中に残っていれば便秘です。
ストレス
ギョウ虫
明け方に痒くなるのが特徴です。
肛門を閉める筋肉が弛んでいる
加齢、出産、排便時のきばる習慣により、肛門を閉める筋肉(肛門括約筋)が弛むことがあります。肛門のしまりが悪くなると、便汁が漏れてしまい、痒みの原因となります。
肛門掻痒症に対する鍼灸治療
原因不明の場合、鍼灸治療が適応となります。便通の解消、ストレスの緩和、血中の痒みを起こす物質の産生を抑制する目的で鍼灸治療を行います。
肛門掻痒症に対する予防
掻かない!擦らない!
掻く事により、更に痒くなります。また、掻きむしることによって皮膚に傷を作り、悪化させてしまいます。
肛門を清潔にする
但し、肛門をゴシゴシ洗ってはいけません。
乾燥させない
皮膚が乾燥すると痒くなります。
お尻の風通しを良くする
むれるジーンズなどをさける。 座り仕事の方は、こまめに立つ。
化繊の下着をさけて、木綿にする
下痢・便秘の解消を心掛ける
「肛門のかゆみ」に対する鍼灸治療の症例
35歳 女性 肛門が痒い!!
★主な症状★
・1年前から肛門が痒い!!
・「痒い!」→「下着の上からゴシゴシ掻く」→「肌がヒリヒリするので薬を塗る」→痒み治まる→肌が治まり薬の使用を止めて暫くすると・・・「痒い!!」→「掻く」の繰り返し
★その他の症状★
・慢性的な便秘
・痔核の経験2回有る
★鍼灸治療★
最初は中々効果がでませんでしたが・・・根気良く続けて頂き、3か月後には「痒み」が治まりました。(計9回)
40代 男性 肛門が痒い!!
★主な症状★
・肛門が痒い!!・・・何年も前から
・5年前から痔で塗り薬を使用している
・時々出血する
・病院には行っていない
★その他の症状★
・四十肩(左)
・携帯を握る時などに、右母指が痛い
・慢性的な腰痛・・・ギックリ腰に何度もなっている
・慢性的な頭痛
★鍼灸治療★
肛門を確認すると・・・2か所「大きな痔」がありました。「 ”痔からの分泌物” ”痔の周辺の溝に汚れが付着しやすい” 事が痒みの原因である可能性が高い」と説明しました。慢性化している症状が多いので、回数が必要である事を説明した上で、症状それぞれに対して鍼灸治療を行いました。
70代男性 肛門・生殖器が痒い!!
★主な症状★
「肛門・生殖器が痒くて仕方ない!!掻きむしりたい!!」背中や腰など、他にも痒い場所はあるが、それは我慢できる。肛門や生殖器の痒みが辛い。3か所の皮膚科を受診したが「顕微鏡検査、血液検査は全て陰性。原因不明。」ステロイド剤などの薬を使用しているが、効果が得られないので、現在はあまり使用していない。また「肛門の痒み」に関しては・・・6年前に発症して肛門科で受診。「肛門皮垂(スキンタグ)」と診断され、オペをしたら「痒み」は治まったが、また発症してしまった。現在、月2回ペースで肛門・泌尿器科に通院。「オペの必要はない」と言われ、注射・光線療法を受け、薬を処方してもらっている。泌尿器科の先生には「包茎により生殖器に痒みがでてしまう」と言われた。
★補足★
・頻尿、残尿
・足のムクミ
・胸ヤケしやすい。外食が多い。
・オナラが溜まっている
・鼻茸・・・うつ伏せになると鼻汁がでてくるが、それ以外は特に問題なし。
・高血圧・・・降圧剤を服用し、安定している。
・ワーファリン服用・・・予防目的であり、心疾患を含め内臓疾患なし。
★全身の皮膚状態を観察してみると・・・★
※ご本人の許可を得て写真を掲載しております。
★鼡径部★
両側とも赤くなっています。
★肘★
非常に乾燥しています。
★腰★
広範囲に皮膚が赤くなっています。乾燥によりカサカサ。
★肛門★
写真ではよく見えませんが、広範囲に皮膚が赤くなっています。現在は皮膚状態が悪い為、「皮膚の炎症で痒いのか?」判別がつかない状態。
◆鍼灸治療3回目◆
「治療後は、トレイに行きたくなり、全身が軽くなる。食欲もでる。」そうです。皮膚の状態は「薬の効果があったのか?」全体的に少し赤みが治まってきています。肛門や陰部以外は「もう痒くない」そうです。肛門に関しては・・・「肛門周囲が痒い→肛門の中が痒い」に変わった。痒みの頻度が少なくなった。
◆鍼灸治療6回目◆
皮膚の赤みは順調に引いてきました。「会陰部、陰のうの痒み」はひいて気にならなくなった。陰茎〜亀頭、肛門の痒みが強い。鍼の刺激方法を変えました。治療中は「肛門〜生殖器に対する鍼やお灸の刺激が響き心地よい」と仰っていました。
◆鍼灸治療14回目◆
鍼灸後は「肛門・生殖器の痒みが一旦治まる」そうです。治療時には毎回「肛門周囲に汚れが付着」しています。「肛門皮垂(スキンタグ)により、肛門周囲に汚れが溜まりやすい」「包茎により、亀頭に汚れが溜まりやすい」事を説明し、「お尻洗浄器付きトイレの利用」など、排便・排尿後のふき取りをシッカリ行って頂くようお願いしました。
26歳 男性 肛門が痒い!!
★主な症状★
中学生の頃から『肛門の痒み』『切痔』が年1回ペースで発症している。切痔になる前に必ず痒くなっている。今回は、1週間前から痒くなっている。
★その他の症状★
・便秘・・・2〜3日に1回の排便ペース
・痔・・・発生した時は薬を塗って治めるが、慢性化している。
・アトピー性皮膚炎・・・小児の頃
◆鍼灸治療1回目◆
『便通を良くする事』を意識しながら、痒みに対して集中的に治療しました。鍼後は、肛門の入口付近の痒みが軽減され、内部の痒みが残っている状態。『まだ痒みが残っているけれど、楽になりました。このような症状に対して鍼が効くなんて知らなかった。』と驚かれていました。掻いてしまうと痒みが増してしまう一方なので、『シャワーを浴びる』『ウェットティッシュで拭く』『一時的に肛門を冷やす』などで対処して頂くようお願いしました。
◆鍼灸治療2回目◆
★追加情報★
『肛門の検査』
病院で肛門の検査をして貰ったところ『肛門が硬く狭くなっている』そうです。切痔を繰り返していた為に肛門括約筋が肥厚して硬くなってしまい、細い便しか出せなくなっているそうです。
『排尿時の会陰部痛』
3年前から発症。肛門のついでに検査して貰ったところ『慢性前立腺炎』と診断された。
『両手の腱鞘炎』・・・職業病
★鍼灸治療★
追加の症状に対しても治療を行いました。肛門の内側は・・・想像していたよりも大分奥の方なので、苦戦しました。現在の痒みレベルは10段階(10:最も痒い)で・・・『内側:2〜3』『外側:1〜2』。